カブトムシの鳴き声も





                      悲痛の叫びにしか聴こえなかった。





                      家の中で脱皮した蝉も





                      飛び出して食われやしなかっただろうか。





                      あの蝉の血を持った蝉はまだいるのだろうか。





                      あの蝉を体の一部にしたやつはいるのだろうか。





                      しらばっくれたあの夜は





                      しっぺ返しでまたやってくるのだろうか。





                      息を吹きかけて芽吹いてくれるのであれば





                      私は満足なのだろうか。